初代釈敬傳は、山科にて蓮如上人の弟子となり尊形を拝受した。真宗寺院の宗祖親鸞は名号を本尊としていたが、その後、阿弥陀如来の御絵像が本尊に代わった。方便法身尊形は御絵像のことで通称「だいほんさま」と云う。円楽寺は、天台宗であったが、釈敬伝が真宗に改宗し、蓮如より下付されたのがこの御絵像である。

御裏書に「本願寺蓮如文明17年(1485)6月24日尾州中島郡大藪村願主釈敬伝」と記されている。円楽寺は当時尾張国であったこともわかる。尊形は足を揃えた正面像を大きく描き背光は48の誓願にならって48、印相は摂取不捨印、きわめて静的、平面的であるが、精密丹念な執筆で荘重感の深いものである。